キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

研究肌の夫と、人と関わるのが好きな妻 二人の持ち味を活かして農業を楽しく

  • 渡辺 美紀子さん(渡辺農園)
  • わたなべみきこ
  • 渡辺農園

 昭和31年(1956年)生まれ。夫と福島市松川町で果樹農園を営む。農家女性が農作物の加工や販売方法を学びながら起業の可能性を探る「ふくしま女性起業研究会」(平成29年度に解散)の三代目会長も務めた。農閑期には地元JAの直売所「ここら」6店舗に米粉を使ったお菓子など、六次化製品を出荷している。

同じリンゴを見ても夫と私の見方は違う

 私が夫と結婚した昭和55年(1980年)頃は、農業の転換期でした。養蚕が下火になり、夫はヨーロッパで学んできた果樹栽培に未来を託しましたが、当然、果樹は、苗木を植えて数年は実りません。果物が実る日を心待ちにしながら、夫婦で木を大切に育ててきました。私から見ると、夫は「職人気質」で「働き者」。研究肌ともいえるかもしれません。よりよい作物を作ろうと、一生懸命手探りで取り組み続け、数年後には胸を張って自慢できるリンゴやモモが出荷できるようになりました。果物を作るのは上手な夫ですが、その美味しさを多くの人に広めたり、買ってもらうことは苦手です。そこで、私は1本の木になった実をすべて買ってもらう「果物の木のオーナー制度」や子どもたちの「農業体験」などを始めて、多くの人と直接関わりながら魅力を伝える機会を設けるようにしてきました。同じリンゴ一つとってみても、夫と私では見方が違いますが、夫は私のやり方を尊重してくれる人だったので、いろいろと挑戦することができたのだと思います。

女性のネットワーク

 農家は、我が家のように「研究肌の夫、人と関わるのが好きな妻」が多いように感じます。
 20年ほど前、国で女性農家の起業を支援する事業があり、福島市内の農家の女性たちがセミナーを受ける機会がありました。花、イチゴ、シイタケ、米など、作っている農産物は違っても、メンバーの境遇や考え方には共通点が多く、一緒に活動するのが楽しかったので、セミナー終了後も加工や販売方法を学び合おうと「ふくしま女性起業研究会」を立ち上げました。会の主な活動は、年2回の研修会やイベント参加などで、自分たちが作る農作物の魅力をもっと知ってもらおうと、お母さんたちを対象とした加工品の出前講座をしたりしました。イベントではメンバーの夫たちもなにかと協力してくれました。私自身も約20人のメンバーからたくさんのことを学びましたが、会員の高齢化もあり、もっと自由な集いに仕切り直そうと、研究会は今年度末(平成29年度末)で一度解散しますが、これまでの縁を大切に、今後はゆったりとメンバーとのつながりを大切にしながら情報交換していきたいと思っています。

子どもたちに伝えたい食と農の魅力

 原発事故以降、子どもの「農業体験」の受け入れはめっきり減りました。「このリンゴはおいしい!」「これはおいしくないね」と正直な感想をぶつけたりしてくる子どもとの交流はとても刺激的でしたし、「食」に関心をもったり、農業の楽しさを伝えたりするために「農業体験」は大きな効果があるので残念です。子どもは土や水が好きで、農業体験で畑にいると飽きずに遊んでいました。
 小さい頃、果樹園で一緒に過ごしていた私の息子は、農業は継がずIT関係の仕事につきましたが、「ここに帰ってくると気持ちが落ち着く」と言います。日の出と共に家を出て、日が沈んだ時に家に帰る、季節と共に生きる豊かさが農家にはあると思うのです。(2018年3月取材)

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