昭和30年の創業から主に測量・設計を行ってきた当社は、平成18年に介護事業に参入しました。質の高い介護サービスの提供には人材確保が不可欠ですが、立ち上げからしばらくすると「出産後子どもを預けるところがない」という理由で職員の退職が相次いだこともあり、平成25年に３カ所目の介護施設を新設する際に認可外保育所を併設することにしました。
　この保育園は24時間体制なので、安心して夜勤もできます。また、生後50日の乳児から受け入れるので、同じ事業所で働いているお母さんは仕事の合間に授乳することも可能です。なにより「通勤と子どもの送り迎えが一緒にできるのがいい」という声が多く聞かれ、女性職員ばかりではなく、男性職員も子どもを預けて活用しています。

　併設の保育所があることや育休取得率100％が評価され、当社は平成29年度「福島県ワーク・ライフ・バランス大賞」に選ばれました。社長は「イクボス宣言」もしています。
　当社が具体的に「働きやすい環境づくり」に取り組み始めたのは、平成24年です。最初の取り組みは、掲示板による「育児休暇制度などの周知徹底」でした。現在は、職員に子どもが出来た時点で、総務課から当社で利用できる制度や保育園の利用を呼びかけています。さらに総務課内に相談窓口を設けて、常時仕事や家庭の相談を受けているほか、半年に１回は個人面談も行います。制度の周知が進んで、介護休暇を２週間取得した職員もいます。私自身も３人の子育て経験があるので、仕事と家庭の両立に共感できる部分を大切にしながら、職員のライフステージに関わっていきたいと思っています。

　昨年は、夏休み中の子どもたちが自分の保護者等の職場を見学する「子ども参観日」を初めて開催しました。親がどういった仕事をしているか子どもたちが理解することができれば、応援する気持ちが芽生えるかもしれません。また、同僚の子どもたちに接することで、職場内に「お互いさま」と助け合う雰囲気が生まれてくるのではないかと思います。初回は４名のお子さんが参加し、介護施設の夏祭り屋台を手伝ってもらいながら交流を深めていました。
　当社の職員は７割が女性で占められています。男女に関わらず、長く勤務してもらって個人がもつ力を存分に発揮できるように、今後もさらに働きやすい環境づくりに努めながら、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指していきます。（２０１８年２月取材）