キラリと光るキラっ人さん

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キーワードは「ワークライフ・インテグレーション」。 仕事と生活、それぞれが充実する相乗効果を目指して

  • 会津オリンパス株式会社

お話をうかがった方
経営企画部 
総務グループ グループリーダー
金田 淳一(かねだ じゅんいち)さん

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全社員アンケートから見えてきた課題

 当社は1970年の設立以来、一貫して医療用内視鏡の生産に取り組んできました。現在は、医療用内視鏡とその洗浄装置の製造と開発を行っています。
 生産量は、年々着実に増大し、これまで計画的に建物の増築や社員の増員をしてきました。2015年には、事業を支える要員を確保し、社員が長期にわたり活躍できる環境を作るために、全社員を対象とした「働き方に関するアンケート」を実施しました。長い間当社には、「仕事に対して時間・努力を惜しまずやりきる」という風土があり、それが強みでもありましたが、アンケートでは「もっと工夫して効率を良くすれば、残業が減らせるのではないか」という意見が多くあり、「働き方の見直し」という課題が見えてきました。また、社員2,080名の男女比は男性51%、女性49%とほぼ半数であり、女性活躍の仕組みづくりも必然的に求められていました。

育休の取得を前提に人員配置をマネジメント

 当社は、もとより産休や育休、育児短時間制度などの制度は整っていましたが、社員がそれらの制度を一覧できるツールがなかったので、2016年に「出産・育児パンフレット」を製作し、社内のイントラネットにアップしました。例えば「妊娠が分かったときの報告」や「育休申請」のタイミングなど、これまで一つひとつ総務に確認しないと分からなかった部分まで踏み込みきめ細かく掲載し、全社員がいつでも確認できるようにしました。
 導入にあたり、マネージャークラス対象の説明会で理解を深めてもらい、さらに実際に産休に入る社員など含め、希望する社員への説明会も設けました。これは現在も半期に1回開催しています。成果はすぐに現れ、翌2017年には女性の育休取得率が100%になりました。以前は、「業務状況を考えると、職場に迷惑をかけられない」と、産休だけ取得して復帰する女性もいました。説明会の開催後は、制度について正しく理解・浸透されたことで、各職場で育休取得を前提に人員配置するようになり、「休みにくい」状況はなくなりました。また、現在は管理職に占める女性の割合が低いのですが、将来的に課長職を見据えた係長級を担う女性を現状の2倍にする5カ年計画を2016年から進めています。

イクボス推進で残業時間を一気に32%削減

 取り組みが大きく動き始めたのは2017年です。当社が目指すのは「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、「ワークライフ・インテグレーション」です。職責を果たした上で仕事と私生活双方を充実させ、インテグレーション(統合・融合)し相乗効果を生み出そうとする考え方で、オリンパス本社でも推進しています。それを受けて、「具体的にどう取り組むか」ということになり、2017年3月に県の事業を利用して、外部講師による「イクボス講座」を開催しました。初回は、社長をはじめ経営層が参加し、まだ馴染みが薄かった「イクボス」の考え方や、部下たちとのコミュニケーションの取り方について学びました。その後も独自に勉強会を開催し、係長クラスまでの共通認識を図りました。それからは、「残業ありきではなく、いかに効率良く生産するかを考えよう」という大きな流れが社内に生まれ、2017年度の残業時間は、2013年から2015年度の平均値に対して、32%減少しました。

効率化のポイントは「会議のもち方」と「多能工」

 効率化の手法の一つは「会議のもち方」です。資料の事前配信、タイマーを使った時間管理の徹底などのルールをまとめた「会議運営ガイドライン」を作りました。基本的に1時間を超える会議はしないことになったので、「会議室の予約が取れない」という問題が解決される副次的な効果もありました。現在、応接スペースにはテーブルと椅子がありますが、技術部門では立ち机を導入し、立ったまま会議をしています。
 また、製造現場では一人の社員が前後工程もこなせる「多能工」化を進め、一つの工程を3人以上がこなせるフレキシブルなラインにしました。こうすることで、誰かが休んでもラインが止まりませんし、効率的に生産をすることができます。
 さらに、今年4月に策定した「次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画」では、「社員が希望する年休を全て取得できる環境の構築」を目標に掲げており、計画的に年休が取れる環境を整え、ワークライフ・インテグレーションの促進に繋げています。

社員の幸せと企業の成長を「融合」していく

 なかには、仕事以外での時間の使い方が分からないという社員もいたことから、今年11月には県の「家庭教育応援企業推進活動」で、外部講師より講演をしていただきました。「人生100年時代」を意識した人生選択や、父親として子育てにどう関わればいいのかを具体的に知ることで、多くの社員が刺激を受ける機会になったようです。最近は夜遅くまで仕事をしていると「効率が悪い人」と見られるようになり、社内の雰囲気は大きく変化してきました。今後は、育休を取得する男性社員も現れるのではないかと思います。
 ライフプランを描きやすくするには、安定した就労が必要であることから、当社は契約社員の正社員登用制度の拡充も行っています。これまでは年に数名程度の精鋭を選抜する「狭き門」でしたが、着実に業務をこなしていて、今後も同様に長く働き続けてほしい方も正社員として採用するようになり、多くの方を登用しています。
 「ワークライフ・インテグレーション」は、企業の成長と切り離せません。働く人が、「職業人」として、地域社会への参画を含む広い意味での「社会人」として、また、「家庭人」として、人生に幸せを感じることができる状態を目指し、これからも様々な取り組みを進めていきます。(2018年11月取材)

基本情報
事業内容
医療用内視鏡および周辺機器の開発・製造
企業名
会津オリンパス株式会社
創業
1970年
所在地
福島県会津若松市門田町大字飯寺字村西500
TEL
0242-28-2111
FAX
0242-28-2117
代表者
代表取締役社長 山﨑 等
従業員数
2080名(2018年10月1日現在)
URL
https://www.aizu.olympus.co.jp

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