キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

まずは自分の思いを誰かに話すことがスタート

  • 小林奈保子さん(なみとも)
  • こばやしなおこ
  • なみとも代表

1987年田村市生まれ。企業勤めを経て平成25(2013)年から4年ほど田村市復興応援隊として都路地区で働いた。2015年に結婚し、2017年に浪江町に移住。現在は、任意団体「なみとも」の代表、いわき双葉の子育て応援コミュニティ「cotohana(コトハナ)」の共同代表など、さまざまな役を担っている。

夫としか話さない生活に感じた物足りなさ

 浪江町に来たのは2017年の春。夫が浪江町役場の職員で、本庁舎再開に合わせて引っ越してきました。不謹慎かもしれませんが、知らない所に住むことにはワクワクしていました。前職では「やりきった感」があって、しばらくは仕事をせず過ごしていたのですが、やがて夫としか話さない生活に物足りなさを感じるようになり、浪江町の区長会長さんに会いに行ったり、保護猫活動のお手伝いをするようになりました。少し知り合いが増えた頃に、夏祭りで後に一緒に団体を立ち上げることになる和泉亘(いずみ わたる)に出会います。ボランティアで浪江町に来ていた和泉と二人で話をするうちに、「ここで何かを始めるには拠点が必要だよね」ということになり、2018年2月に任意団体「なみとも」とゲストハウス「あおた荘」を立ち上げました。「あおた荘」は、一定の役割を終えて2020年に閉じましたが、「なみとも」は、地域の活動・プロジェクトのサポートなどにも活動の幅を広げて、現在も継続しています。

変化する町に合わせた「場」でつながる

 「なみとも」は「なみえで楽しく暮らそう」をコンセプトに、バーベキューや流しそうめんなど遊びの要素を取り入れたさまざまな「場」をつくってきました。こうした「場」があれば、町のなかにどんな人がいて、どんな暮らしをしているのか情報交換ができます。さらに、企業や町内外で活動する団体、支援者のネットワークの場「なみえ会議」や、この指とまれ方式でプロジェクトの参加者を集めるプラットフォーム「なみえバーガー会議」の事務局も担っています。今年3月には、バーガー会議発のイベント「新町にぎわいマーケット」を開催しました。震災前の賑わいを取り戻そうと、新町通りにキッチンカーを呼んだりフリーマーケットをしたところ、約800人が来場。「年に1回でも継続したい」という声が多くあがり、次回の準備を始めています。私が来た時には、200人程度だった町民も現在は約2,000人まで増えました。もうすでに、どこにどんな人が暮らしているのか把握しきれなくなっています。「なみとも」の活動も現状維持ではなく、さまざまな方法でつながる方法を見つけていかなければなりません。水害など、いざという時に助け合える仕組みづくりを目指して、防災イベントやLINEのオープンチャットも始めています。

「こんなのがほしい」という当事者の一人として

 私は支援者ではなくて当事者の一人でしかありません。自分がほしかった「場」をつくりたいと思ったから、「なみとも」を立ち上げました。定款さえ作れば、任意団体を作ることはさほど難しくありませんが、今になってみると「よくやったな」と思うこともあります。当時は浪江町に自由に動ける若い世代がほとんどいなかったので、自分が代表を引き受けるしかなかったのです。ただ「私が代表なら好きなようにできるかな?」とも、ちょっと思いました。いずれにしても、「こんなことをやりたい」と思っていることを誰かに話すことがスタートで、そこから物事は動き始めます。抱えている課題が実は自分だけのものではなくて、いろんな人に話すと「それはいいね」「ぜひやってみたらいい」「応援するよ」という声がたくさん聞こえてきたので前に進めたのだと思います。「どうしたらいいんだろう」と迷うような時には誰か相談すると、実践している人につなげてもらえることも多くあり、どんどんいろんなことができるようになりました。

浜通りの子育てをもっと楽しく豊かに

 昨年6月からは、県総合計画審議会にも参加しています。浜通りで子育てをしながら暮らす当事者の一人から声を届ける貴重な機会だと受け止めています。現在、私は未就学の子どもを育てているのですが、浜通り地域で子育てをするにはリソースがまだまだ少ないのです。土日の保育やファミリーサポートなどが整備されれば、子育て世代の女性も社会で活躍できるようになると思います。浪江町に限らず、これから浜通りに若い世代を増やそうとするなら子育て支援の充実が必要です。“子どものいる暮らしをもっと楽しく、もっと豊かに”という思いで活動しているいわき・双葉の子育て応援コミュニティcotohana(コトハナ)の活動などを通して、自分たちでできる取り組みを増やしなら、「こうだったらいいな」と思うことを発信していこうと思います。(2022年10月取材)

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