キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

『パパクオータ』制度の利用が職場復帰後も自然に育児に関われるきっかけに

  • 泉谷 徹さん(飯舘村役場)
  • いずみやとおる
  • 飯館村役場 飯野支所 生活支援係 主任主査(2017年3月当時)

福島県庁から飯舘村役場に派遣されて2年。飯野支所に勤務し、福島市などで避難生活を送る村民の支援にあたってきた。昨年2月に長男が誕生した際には、村長の勧めにより『パパクオータ』で育児休暇を取得。

迷っている背中を押してくれた上司の言葉

 村長から『パパクオータ』での育休取得を勧められた時は、とても迷いました。私は県からの派遣職員の立場でもあり、多くの村民が避難生活を送っている状況の中、1ヵ月もの間仕事を休んでしまえば、当然周りの職員にも迷惑がかかるはずだと思ったのです。しばらく一人で悩んだ末に、どうしたものかと迷う気持ちを正直に上司に伝えたところ、上司は、「子どもと24時間一緒にいられる機会は今だけ。貴重な経験になるのは間違いないので応援します」と言ってくれました。

マニュアル化と詳細な打ち合わせで引き継ぎを

 私たち夫婦は福島県外の出身なので、近くに頼れる身内がいません。改めて自分の気持ちに向き合うと「妻が出産後の体力的に大変な時は近くで支えてあげたい」、「一緒に子育てをすることで妻の気持ちを理解したい」という想いがあることに気づきました。そこで出産予定日の3ヵ月ほど前には『パパクオータ』を利用することを決心し、そのことを上司に伝えると同時に、少しずつ自分の仕事の整理を始めました。自分が担当している避難者支援をはじめ庶務的な内容も可能な限りマニュアル化し、事前に詳細な打ち合わせをしたことで、引き継ぎもうまく行ったと思います。

夫婦が同じ立場から育児のスタートラインに

 出産予定日が2月中旬なので、その日から1ヵ月間休みました。幸い出産にも立ち会うことができ、言葉に表せないほどの感動を経験することができました。退院後は妻と交代でミルクをあげたり、沐浴をしたりと24時間一緒に過ごしましたが、ミルクをあげてもオムツを替えても泣き止まない子どもを前に悶々とすることもあり、一人で育児をして相談相手がいないお母さんは本当に大変だなと実感しました。一方で、作った分だけミルクを飲み干してくれたり、手足をバタバタさせながら、笑顔を見せてくれる瞬間のうれしさはかけがえのないものでした。この時期のことを妻は、「一番近い存在である夫と育児を共有できたことが心強かった」と話しています。悩みや愚痴を妻が一方的に夫に話すのではなく、同じスタートラインから手探りでも夫婦で一つひとつ解決できたことは、とてもいい経験になりました。

家事も効率よく〝できることはすぐやる〟

 職場復帰してからも、できるだけ子どもをお風呂に入れています。私の方が手が大きいので、子どもの身体が安定するようです。また、妻が子どもを寝かしつけしている間に食器や哺乳瓶を洗うなど、効率よく〝できることはすぐやる〟習慣ができました。
 休日には、私が子どもの世話を引き受けて「外出しておいで」と妻に声をかけることもあります。どんなにかわいい我が子でも、1日中一緒にいると息が詰まることを私も育休中に実感しました。現在、1歳になった子どもは、身体全体を大きく揺らしたりするダイナミックな遊びが大好きで、その相手は私の役目です。妻の姿が見えなくなっても泣かずに一緒に過ごせるので助かっています。
 この4月から妻も育休を終えて職場復帰します。朝起きてから保育所に連れていくまでの分担、段取りなどについてもこと細かに二人で話し合っています。

お互い様の大切さをいつか子どもに伝えたい

 男性の育休取得は職場の上司や同僚の理解がなければ実現しません。今回、普段から子育ての大変さや楽しさを職場の仲間と共有していく雰囲気づくりも大切だと感じました。以前いた職場にも小さな子どもを持つ同僚がいましたが、「あの時もっと配慮できることがあったのではないか」と今になって反省することもあります。
 2年間この村で職員や住民の方と関わり、お互いに支え合い助け合いながら暮らしてきた地域の風土の素晴らしさを感じました。『パパクオータ』制度の根幹にも「お互い様」で、子どもが産まれたら助け合っていこうという精神が息づいているのだと思います。派遣期間は2年なので、この4月に私は福島県庁に戻ります。よく妻と二人で話しているのですが、いつか子どもが大きくなったら飯舘村に連れてきて「お父さんは、ここで昔働いていたんだよ。ここの皆さんにお世話になって、大切なことをたくさん教えてもらったんだよ」と、必ず伝えるつもりです。そして、飯舘村で経験させてもらったことを今後の仕事にも活かしていきたいと思っています。           (2017年3月取材)

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