キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

なんとなく生きていた自分を変えた「花火」。目標をもって働く日々は充実しています。

  • 佐藤 梨緒奈さん(有限会社 糸井火工)
  • さとうりおな
  • 有限会社 糸井火工 花火師

1995年郡山市生まれ。高校卒業後アルバイトを経て、出産後の2015年に糸井火工に入社。子育てと仕事を両立しながら花火師として経験を積み、昨年は県内で最大規模の「第40回須賀川市釈迦堂川花火大会」で音楽花火創作花火の演出と構成を担った。

父に誘われた短期アルバイトがきっかけ

 当社の常勤従業員は15人ほどですが、繁忙期になると40〜50人が働いています。私の祖父や父も、昔から本業のかたわら夏には手伝いに来ていたので、私には小さい頃から馴染みのある会社でした。最初に働き始めたのは4年前の夏です。私が出産を控えて家にいたところ「時間があるならアルバイトしないか」と父に声をかけられ、軽い気持ちで「玉貼り」に来ました。
 「玉貼り」とは、火薬を入れて球形にした玉に短冊状に切ったクラフト紙を重なり合わないように貼っていく作業で、座ったままで出来るので妊娠後期でも身体に負担がかかりません。クラフト紙を丁寧に貼ることで、圧力が均等にかかり、美しく丸い状態で花火が夜空に広がるので、大切な作業の一つですが、この時の私は作業を黙々とこなすだけで、まだ花火には強い思い入れはありませんでした。夏とともにアルバイトを終えて、9月には無事、女の子を出産しました。

他社の花火を見て、負けず嫌いの自分が目覚めた

 「子どもが生まれたら、また働きにおいで」と声をかけてもらったので、子どもが6ヵ月になった時に入社しました。その秋、土浦の全国花火競技大会に連れていってもらい私は衝撃を受けました。それまで自社の花火しか見たことがなく、花火にたくさんの表現方法があることを知らなかったのです。感動覚めやらぬまま職場に戻り、「今までやったことのない花火を作りたい」と話すと、経験の長い花火師に「そう簡単には出来ないよ」と返されてしまいました。今になって振り返ると「花火を甘く見ていた」と反省するのですが、負けず嫌いの私は「出来る方法があるなら、やりたい」とスイッチが入ってしまったのです。
 花火の製造方法は昔からあまり変わっていませんが、打ち上げにはコンピュータ制御が取り入れられるようになっています。いくつもの花火を連続的に打ち上げる「スターマイン」や音楽に100分の1秒レベルであわせる「音楽花火」にも挑戦していくことにしました。花火の加減は本当に難しく、ちょっとしたことで失敗することもあるのですが、「次はもっと良くしよう」と思っているうちに、どんどん仕事が面白くなってきました。

懸命に仕事に取り組む母の姿を娘に見せたい

 音楽花火は、家に帰ってからも家事をしながら音楽を聞いてイメージを作ります。昨年夏に手掛けた釈迦堂川花火大会のプログラム「HOPE&DREAMS」は、MISIAさんの音楽に合わせてドラマティックに演出しました。当日は3歳だった娘も会場にいて、音楽ですぐに分かったようで「ママ、花火を見たよ。きれいだったね」と後になって話してくれ、嬉しくなりました。
 花火に本気になるまでの私は、目標や夢がなく「なんとなく」生きていました。やりたいことを見つけた今は、毎日がとても充実しています。母親として、何かに一生懸命取り組んでいる姿を娘に見せたいという思いもあります。私にとって目指すものを見つけることは、簡単なことではありませんでしたが、娘にも一つの目標に向かって頑張る人になってもらいたいです。
 会社の人は私が子育て中であることに配慮してくれています。子どもの具合が悪くなった時には早退したり休ませてもらうこともありますが、迷惑に思うことよりも心配してくれるような人達ばかりです。女性花火師は全国でも少なく、当社でも打ち上げの現場に出る女性は私だけですが、特に居心地の悪さはありません。本当に、周りの人に恵まれていることに感謝しています。

この会社でしかできない花火をみんなでつくろう

 花火の細かい表現でも、イメージ通りに表現できれば嬉しいですし、逆に見ている人が喜んでくれていても、自分が思った通りに再現できなければ、「もう1回別の方法を試そう」と考えます。この繰り返しは、花火師として仕事の幅を広げていくためにとても重要です。ただ、私自身は大きな大会や全国の競技会にでることよりも、見に来てくれた人の喜ぶ姿が分かるような地域性のある小さな現場を担当していきたいと思っています。花火師として、老若男女が一つになれる「花火の感動」を共有して長く続けていきたいと思っています。花火を作る人の努力や工夫は表面的に見えにくいもので、見ている一般の方には分かりにくい部分もあり「自己満足の世界なのかな」と思うこともありますが、10年後には「糸井火工にしかできない花火」を、会社のみんなで作っていけるように私も精進していくつもりです。(2018年12月取材)

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