キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

女性が安心して楽しく働けるように、自分が辛かったことは次世代に残さない!

  • 伊藤 幸恵さん(社会福祉法人育英会みそら保育園)
  • いとうゆきえ
  • 社会福祉法人育英会 みそら保育園 事務長

喜多方市出身。大手システム会社など、いわき市内の民間企業勤務を経て、17年前に夫の両親が経営するみそら保育園に就職。働きながら保育士資格を取得し、夫と協力し仕事・家事・3人の子どもたちの子育てをしてきた。いわき市男女共同参画情報紙「Wing」編集長も務めている。

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育休を使えない辛さを知っているから

 保育園の園長だった義父が体調を崩したために、私も保育園で働くことになったのが17年前で、長女はまだ1歳でした。ほどなく次女を出産して、「この子が歩けるようになったら、もっと勉強する時間がとれなくなる」と、働きながら必死に勉強して保育士の資格を取得しました。長女に「ママ勉強しないで」と泣かれて辛かったことを今も思い出します。
 私は3人子どもがいますが、3人とも生後1ヵ月半から保育園に預け職場復帰しました。自分身が育休がないと身体が辛いことを痛感したので、保育園で働く職員には「十分な育休を取ってもらいたい」と思いました。また、些細なことですが、妊娠後期は和式トイレでしゃがむ姿勢がつらかったため、私が三女を出産した後に園のトイレを洋式トイレにしました。職員からは「贅沢なのでは」という声もありましたが、職員が子どもたちに笑顔で接していくためには、少しでも安心できる環境が必要だと思ったのです。

「言わなくても分かる」ことばかりではない

 私が働き始めた頃は、育休を使う人は全くいませんでした。当時、園長を引き継いだ義母と働く人たちには強い信頼関係があり「言わなくても分かる」という雰囲気がありました。例えば行事の準備なら「担当者の頭の中に入っているから大丈夫」という状態が長く続いていたので、その人は簡単には休めない状態だったのです。
 1年後、夫も保育園で働くようになってからは、夫婦であらゆる業務をチェック表に書き出し「見える化」を進めました。「なんでもマニュアル化なんて、保育園らしくない」と反対意見がありましたが、導入すると効率化が進み職員もその必要性を実感してくれました。義母とは生きてきた背景が大きく異なることもあり、激しいやりとりを重ねてきましたが、今ではとてもいい関係を築くことができています。「よりよい保育をしていきたい気持ちは同じ」ということが伝わったからかもしれません。

アンガーマネジメントでよりよい関係づくり

 不満があっても、黙って仕事も家事も子育てもやってきた女性は多いと思います。私は何でも言葉に出すので、夫婦喧嘩もたくさんしました。特に子育ては、夫とは価値観が違い、忙しく心に余裕もなかったので、分かってもらいたくて一生懸命話をしました。家族関係だけではなく、管理職として職員を指導しなければならない場面も数多くあります。私は怒りの感情と上手に付き合いたいと思い「アンガーマネジメント」を学びました。
 これは「怒ることは悪いことではない」というところから始まる心理トレーニングです。怒る必要があれば上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくてすむように線引きをします。私は、養成講座に通ってアンガーマネジメントファシリテーターの資格を取得し、職員を対象とした社内研修を実施してきました。これにより、怒りの感情をぶつけ合うことなく、よりよい関係を作ることができるようになりました。

心と身体の両面から女性の活躍をサポート

 もう一つ、以前から関心があったのが「女性が働き続けるために、更年期をどうやって乗り切るか」という課題です。私は、こちらも養成講座に通い、更年期ライフデザインファシリテーターの認定資格を取得しました。そもそも更年期に女性の身体の中で何が起きているのか、ほとんどの人は知りません。汗をかいたり、イライラしていたりする状態の女性を、恐る恐る遠巻きに見るのではなく、広くみんなに理解を深めてもらって、明るく元気に乗り越えていければいいなと思います。職員はまだ更年期に該当しない世代が多いのですが、同じ迎えるにしても知識があるのとないのとでは受け止め方が違うので、園内でもこれから知識を共有していきます。
 いわき市の男女共同参画情報紙「Wing」の制作などを通じて、地域の男女共同参画推進にも関わっているので、積極的に保育園の外にも出て、アンガーマネジメントで「心」、更年期ライフデザインで「身体」の二本柱で、女性が活躍できるようにサポートしていきたいと思っています。根底にあるのは、園に通う子どもたち、そして私の娘たちが大人になった時に、もっといい社会にしたいという願いです。家庭では、娘たちにいつも「働くことは楽しいよ」と伝えています。(2018年12月取材)

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