会社設立から51年になります。仕事は、道路、河川、山林、宅地などの測量業務、災害業務を含む各種土木設計業務、土地調査、物件などの補償業務、特定労働者派遣業務など、使命感のある業務を担っています。地域の人々が生き生きと暮らす環境を造るため、測量・設計のスペシャリストたちがプライドを持って日々の業務に取り組んでおります。
　弊社には、男性・女性という固定された分担はありません。性別にとらわれることなく活躍できる環境で、特性に合った仕事をしています。デスクワークが中心の仕事も現場を知ることから始めます。そこで測量という仕事がある程度分かるようになると、各部署が担う役割を俯瞰でき、自身の役目も見えてきます。そこが大切なのです。
　細かい話になりますが、“用地測量業務”に含まれる仕事の１つ“ 権利調査”は、女性社員が前面に立って仕事を進めています。例えば、道路にしようと考えている土地があったとします。買収可能な土地かどうかを調べるのが“権利調査”です。境界があいまいだったり、共有地が入っていると相続関係の調査も必要になり、なかなか緻密な仕事です。そうした調査をコツコツ根気強く調べて図面を作成していくのですが、弊社の女性陣はとにかく根気強い。先日も集まってミーティングをしていました。頼もしい限りです。

　私たちの仕事は、一人では出来ません。チームワークがすべてです。勤続30年というベテランから新入社員まで得意分野を活かし、協力し合いながら納期を目指して一丸となって突き進んでいきます。大家族のような温かさと団結力が弊社のモチベーションになっています。南会津地方に甚大な被害を及ぼした平成27年9月の関東・東北豪雨では、全社員が高い貢献意欲をもって昼夜を徹し対応に当たりました。後日、福島県南会津建設事務所から感謝状をいただいた時の社員の笑顔が忘れられません。励まし合いながら困難を乗り越え、みんなで分かち合う達成感がチームワークをより強固なものにしていきます。

　ところで、測量の技術は、人の暮らしになくてはならないものですが、私たちの業界もまた、少子高齢化が進むほど人材確保が大きな課題となっています。そこで、取り組み始めたのが福島県次世代育成支援企業認証制度「働く女性応援」中小企業認証です。きっかけは、「すでに実績がある弊社なら取得できるはず」という社員からの提案でした。項目ごとに達成率、達成年度などを明確にして働きやすい職場環境作りを進め、企業のイメージアップ、さらには培ってきた技能と技術を若い世代へ継承していく契機にしようと考えたのです。
　具体的には、大きく２本の柱を掲げました。１本目が“職場環境の整備”です。新規採用者３年経過後の離職率０％。ワーク・ライフ・バランスを見直すべく所定外労働時間削減「ノー残業デー」を設定しました。また、年次有給休暇取得率60％以上と従業員の育児・介護休業取得も目指しています。女性従業員の能力向上のため外部研修会も実施しています。２本目が“その他の活動”です。若年者に対するインターンシップなどの就業体験機会の提供。トライアル雇用などを通じた雇入れ。適正な募集・採用機会の確保。雇用管理の改善または職業訓練の推進を図っています。産休、育休についてはまだ該当者がおりませんが、子どもが通う学校の行事やスポーツ少年団などに積極的に参加している社員がいます。これからも社内の意識統一を図りながら、仕事と家庭双方の調和の実現に邁進し、長期目標を達成したいと考えております。

　人材育成にも力を入れています。若い社員の定着を促すと同時に、自信につながるスキルアップのための資格取得も支援しています。測量士、測量士補、技術士、技術士補、ＲＣＣＭ、補償業務管理士など、勉強したいということであれば、福島県測量設計協会で資格取得のために開催している研修会への参加も許可しています。取得した暁には、資格手当も出します。
　地域貢献とキャリア支援も含めた取り組みとして、毎年、南会津町立田島小学校の４年生以上の子どもたちの職場体験も受け入れています。説明は、入社５年目の社員が担当しています。男の子も女の子もヘルメットを被って真剣な表情で聞いています。何よりもうれしいのが、「道路も橋も測量をしないと造れないことがわかりました」など、ストレートな思いをつづった感想文です。もしかしたら測量・設計の仕事が、子どもたちの将来を考えるときの選択肢になるかもしれません。子どもたちの夢を育む職場であり続けたいと思っています。
　うれしいことに少しずつですが、これまでの努力が形となって現れはじめています。平成27年は、女性社員1名が入社しました。今年は、１月に中途採用、４月に新卒、６月にＵターン者と男性３人が入社します。大切なのは“持続”させていくことですので、一層働きやすい職場環境作りに注力しながら、南会津の豊かな自然を大切に「み」んなのために、「な」にごとも、「か」かんに挑戦する、「わ」たしたちであり続けたいと思います。（2016年2月取材）