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「介護は嫁の仕事」、「認知症は恥」が大きく変化した20年

  • 株式会社ユアライフ

お話をうかがった方
株式会社ユアライフ
代表取締役 鈴木 洋子(すずき ようこ)さん

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介護保険が始まる時代のターニングポイントに

 2002年6月、福島市にある医療法人敬愛会が富岡町でグループホームを立ち上げることになり、婦長だった私は管理者を任せられました。看護婦が看護師と呼ばれるようになった頃です。認知症はまだ痴呆症と言われて、「介護は嫁の仕事」という認識が根強くありました。
 介護保険はまだ始まったばかりで、地域の理解が得られずに18床がなかなか満床になりません。そこで、まずは、認知症に対する正しい知識と理解を広めるための「認知症サポーター」の養成に積極的に取り組みました。双葉郡の市町村にも出かけ、民生委員などに啓蒙活動をしました。やがて、信頼関係を築いて家の中に入り、それぞれに合ったケアプランを立てサービスを提供していかないと一人の人に寄り添うことができないと感じるようになり、2005年に株式会社ユアライフを起業。2006年に、グループホームの同敷地内で、デイサービスセンター、ヘルパーステーション、居宅介護事業所を開所しました。2009年にはグループホームを医療法人から譲り受け、訪問・通い・計画・泊まりのきめ細やかなサービスの提供ができるようになりました。

資格取得で職員みんなが成長できる職場づくり

 その頃には町役場から「認知症の相談ならユアライフに行くといい」と言われるようになり、地域で選ばれる事業所を目指して職員教育にも力を入れるようになりました。合言葉は、「3年経ったら介護福祉士、5年経ったら介護支援専門員(ケアマネージャー)」。職員みんなが成長できるように、また、家庭と仕事を両立できるようにコミュニケーションを大切にしてきました。
 会社設立5周年を迎え、いよいよこれからと意気込んでいた時に起きたのが、2011年の東日本大震災です。事業所は福島原発から9kmの位置にあり利用者さんと職員の避難生活が始まりました。6ヶ所目の避難先である現地に落ち着いたのは、3年後の2014年。現在は富岡町の頃と同様の介護サービスを提供できるようになり、デイサービスは小規模を含め3ヶ所になりました。
 避難生活で学んだのは、人は、困難や逆境を乗り越え回復する力をもっているということ。現実を受け止め、環境に適応することで、生き抜くことができる強さを改めて感じました。

小さな株式会社だから、すぐできることが多い

 認知症のグループホームは、擬似家族の中で残存能力を活かし自立を支援する考え方で始まりました。相手が利用者さんでも職員でも、対応に迷う時には「相手が自分の家族だったらどうするか」を考えていくと自ずと答えは出てきます。福島市に拠点を設けてから新しく加わった職員に対しても保育園の送り迎えや介護などのさまざまな事情に合わせた「働きやすい時間帯」に配慮し、短時間でも働けるようにシフトを組んできました。子どもの預け先がない時には、職場に連れてきてもらい私や会長である夫がおんぶをしながら楽しく世話をしていたのですが、最近は新型コロナウイルス対策でできなくなったのが残念です。女性の産休・育休取得後の復帰はもちろん、最近は男性からも「妻が3人目を出産するので育休を取れないか」という相談がありました。
 私自身子どもが3歳になってから学校に通って看護師の資格を取り、50歳半ばを過ぎて縁のなかった土地で会社を立ち上げ、さらに一千年に一度の災害を乗り越えてきました。小さな株式会社を立ち上げてよかったのは、やりたいことを思い立ったらすぐに職場で実践できることです。職員にも新しい取り組みを「やってごらん」とチャレンジするための背中を押すことができます。70歳を超えた今、後進を育て、これからも最期まで仕事をしていたいと思っています。
心から信頼できる人たちに「お母さん」の役割を託して(2022年2月取材)

基本情報
事業内容
介護事業
企業名
株式会社ユアライフ
創業
2005年
所在地
福島県福島市伏拝字田中21-1
TEL
024-563-4671
FAX
024-563-4672
代表者
代表取締役 鈴木 洋子
従業員数
46名
URL
http://www.yurlife.co.jp/

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